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深めてきております。特に全国的には1990年、経団連などが利益の1%を社会貢献に使おうとか、あるいはメセナ評議会とかそういったものをつくってまいりました。それがバブル崩壊後ちょっと頓挫しているところもございますが、底流には「社会貢献ということを、いかに企業として果たしていくか」、これが今、重要な課題になっております。そういう社会貢献という意味では企業は非常にたくさんのことを現実にやっております。
皆さんはあまりご存知ではないかもしれませんが、例えば福岡では「どんたく」や「山笠」の時は、銀行の支店の従業員が皆参加するとか、あるいは地域の子供会には少しお金を出す、寄附をするとか、いろいろしております。最近の事例では福岡銀行が、ダイエーホークスが優勝したら金利を0.5%上乗せして支払うということで預金を集めました。3百何十億か集まったと思いますが、あにはからんやダイエーは最下位で、その0.5%をどうするかということが非常に問題になっておりまして、最近の新聞によりますとようやく決着がつきまして、スポーツ振興の基金にするというようなことを言っております。

 

こういう事例はいろんな企業がたくさんもっておりまして、例えばある企業では地域の自治体の体育会や白治会の組織に、自治会長をすると月5000円やるという企業もございますし、自治会長はボランティアかどうかわかりませんが、社会貢献をする社員をたくさん育成していこうという意識が大変強くなっております。あるいは西日本銀行でも、ボランティア休暇というものが実施されております。社員が町のマスタープラン審議会の委員になった場合、審議会は昼行われますので、昼は仕事を離れてそこに行かなければならないので、それは仕事として認められるわけです。このような事例が最近は出てきております。
こういう実態のなかで、私ども同友会で今回提言を出すときに、並行して福岡市や社会福祉協議会が調査されていたのですが、「遊ぶ企業」という報告書が出ております。これは中経協と福岡市の福祉協議会が一緒に調査されているようですが、だいたい企業が「遊ぶ企業」というような報告書を出すなどというのは非常に珍しいことです。これは非常に社会貢献をしている企業を調査して、なおかつ今後とも社会貢献をするような体質にもっていこう、あるいは従業員がそういう社会貢献、ボランティアをやる場合には企業としても支援していこうという態勢がずいぶん多くなっている。なぜそのようになったかというのは、企業は儲ければいいという感覚が、やはり個々の従業員の方がボランティアや社会貢献をすることで企業の業績も上がるということが徐々に出てきております。今日の基調講演ではございませんが、アナ・ミヤレスさんは銀行でボランティアをやっておられたということも聞きますが、いろいろな企業でボランティア活動支援の輪が広がっている、またそういうことを経営者の方は本当に真剣に考えてきているということをご報告させていただきたいと思います。

 

●ボランティア休暇制度の普及

 

田中 ありがとうございました。皆さん新聞を読まれて記憶に残っている方もいらっしゃるかもしれませんが、2ヶ月ほど前に人事院が“ボランティア休暇5日制度”というのを勧告いたしました。人事院というのは国家公務員の労働条件をいろいろ策定するようなと

 

 

 

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